伊藤言の研究・教育活動について
2018/08/07 by Gen

personalized nudge(個人差を踏まえた上でのナッジ)についての先行研究 [随時更新]

[最終更新 2018/08/07]

現在行っている研究の観点から,【個人差を踏まえた上でパーソナライズドされたナッジをかけて行動の変化を検討した先行研究】【個人差を踏まえたナッジに関連した先行研究】【ナッジのかけ方の説得効果の違いを検討した研究】を私の研究関心からまとめていきます。

 

◆Costa, D. L., & Kahn, M. E. (2013). ENERGY CONSERVATION “NUDGES” AND ENVIRONMENTALIST IDEOLOGY: EVIDENCE FROM A RANDOMIZED RESIDENTIAL ELECTRICITY FIELD EXPERIMENT. Journal of the European Economic Association, 11, 680-702.
→電力消費量についてのフィードバックを生活者に対して返したときどうなるか?政治的価値観がリベラルの人に対してフィードバックを返したとき、保守の人に返したときの2倍~4倍効果的。保守の人はフィードバックをオプトアウトする傾向が強く、フィードバック自体を嫌がる傾向も強い。

 

◆Peters, E., Västfjäll, D., Slovic, P., Mertz, C. K., Mazzocco, K., & Dickert, S. (2006). Numeracy and Decision Making. Psychological Science, 17, 407-413.
→数学能力が高いと数値的な情報処理が優勢的に行われ表現のちがい(フレーミング効果)の影響を受けにくくなる

 

◆Peters, E., Dieckmann, N. F., Västfjäll, D., Mertz, C. K., Slovic, P., & Hibbard, J. H. (2009). Bringing meaning to numbers: The impact of evaluative categories on decisions. Journal of Experimental Psychology: Applied, 15, 213-227.

→視覚的なあるいは感情的な手助けをしてやることによって、数学能力が低い人も意思決定に数値的情報を利用できるようになる。どうやって手助けできるかについて実験的に検討

→その結果として、指針としては次の3点を提言可能

1.認知的負荷を減らすよう情報の発信者は努力しろ(e.g., 一つの決断における属性や選択肢の数を減らす。そのことによって数値が理解できたり数値に対する感受性が高まったりする; Peters, Dieckmann, Dixon, Hibbard, & Mertz, 2007; Zikmund-Fisher, Angott, & Ubel, 2011)

2.数値が持つ評価的な意味を発信者はきちんとラベリングしろ(e.g., たとえば数値を”poor”とか”excellent”とかラベリングすると、数値的な情報が意思決定に組み込まれやすくなる。ラベリングによって数値の記憶がゆがまずにアクセシビリティが高まる; Peters et al., 2009)

3.数値情報にヴィジュアル的表象を付け加えるよう発信者は努力しろ(e.g., Garcia-Retamero & Galesic, 2009; Reyna & Brainerd, 2008;  Fagerlin, Ubel, Smith, & Zikmund-Fisher, 2007; Lipkus, 2007).

→上記の論点と関連した新しめのレビュー論文

Peters, E. (2012). Beyond Comprehension. Current Directions in Psychological Science, 21, 31-35.

 

◆Aldrovandi, S., Brown, G. D. A., & Wood, A. M. (2015). Social norms and rank-based nudging: Changing willingness to pay for healthy food. Journal of Experimental Psychology: Applied, 21, 242-254.

→※これはpersonalized nudgeについての情報ではんく、一般的なnudgeについての研究。「他者の平均と比較して500kcalカロリー消費量が多い」のようなメッセージだと、社会規範(社会比較)のナッジのメッセージ効果は弱い。ランクにもとづいたナッジが効果がある(例:「あなたはもっとも不健康な下位10%の食事をしてますよ」)

 

◆Coventry, L. M., Jeske, D., Blythe, J. M., Turland, J., & Briggs, P. (2016). Personality and Social Framing in Privacy Decision-Making: A Study on Cookie Acceptance. Frontiers in Psychology, 7.

→プライバシー設定(クッキー)を題材にした研究。「多くの人はクッキー設定してますよ」型の社会規範型のナッジは、非社会規範型のナッジと比較して、人々の行動を変容させた。そして、どのパーソナリティ属性を持つ人において社会規範型のナッジの効果が特に強かったかを検討。リスクテイキング傾向と衝動性が強い人ほど社会規範型ナッジの影響を受けた(!)。衝動性とリスクテイキングが向かう先の社会規範ナッジを作り込めば変な行動は防げるかもと議論。

 

 

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