伊藤言の研究・教育活動について
2017/09/26 by Gen

2017年度の研究発表予定

[最終更新日 2017/1101]

2017年度の研究発表予定について随時情報の掲載を行います。

 

◆日本心理学会第81回大会(2017/9/20-9/22,久留米シティプラザ)

伊藤言・高野陽太郎. ファンは「神」を信仰しているか?ファン心理の構造とその心理学的基盤 [発表原稿].(ポスター発表予定)

伊藤言. シンポジウム「明日からできる経験サンプリング法 -効率的なデータ収集と深化した解析で移ろう心を描き出す-」における話題提供予定

Abstract: スマートフォンアプリを作成するために必要な知識や経験を持たない研究者が,アプリを用いた経験サンプリング法を明日開始するための方法論を紹介する。発表者の研究事例を踏まえた上で,英語圏で提供されている経験サンプリング研究を支援するためのサービスについての概観を行い,研究の「大変さ」がアプリ利用でいかに低減されるかを論じる。またスマホのセンサーを用いた行動データの取得で拡がる研究の可能性も紹介する。

伊藤言. シンポジウム「DVをどう防ぐことができるか-リスク因子の解明と変容に向けて」における話題提供予定

Abstract: 親密な関係においてDVのエスカレートを防ぐには,普段の相互作用の中で交際相手から受けるネガティブな行為を即座に検知し,その行為が持つインパクトを適切に評価した上で対処することが有効である。これらの実現にはいかなる心理学的な条件が必要だろうか?交際中の若者74名を対象に実施した経験サンプリング調査の結果に基づき,交際相手の行為が持つインパクトの評価プロセスに影響する認知・特性・対人的条件を示す。

 

◆日本グループ・ダイナミックス学会第64回大会(2017/9/30-10/01,東京大学)

伊藤言・橋本侑樹・中川武治・高野陽太郎. なぜあなたと私は政治的態度が異なるのか?―5つの道徳基盤から特定のトピックに対する日本人の政治的態度を予測する. [発表原稿]  口頭(ロングスピーチ)発表予定

・鈴木啓太・伊藤言. Context Collapseに対する気遣い・葛藤

 

◆日本社会心理学会第58回大会(2017/10/28-10/29,広島大学)

・相馬敏彦・伊藤言. 相手からのネガティブな行為がポジティブにみえるとき1) -親密な関係におけるコミットメント・デバイスとしての行為解釈- [発表原稿].(口頭発表予定)

 

◆日本応用心理学会公開シンポジウム(2017/11/18,帝塚山大学)

・「暴力的な絆はなぜ生じるのか――DVの予防に向けて」における話題提供

発表タイトル:「いやなことをいやだと感じるための心理学」

「関係の永続を願う気持ち」や「運命の出会いを信じる気持ち」といった抽象的な考えや信念が,相互作用のインパクト評価に及ぼす影響について,経験サンプリング法を用いて検証した結果を報告する。

 

◆12th Biennial Conference of the Asian Association of Social Psychology (2017/08/26-08/28, Auckland, New Zealand)

Soma, T., & Ito, G. (2017). Does “believing in fate” overlook the dangerous behavior of a lover? (accepted)

 

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2017/09/20 by Gen

日本心理学会 (2017) 明日からできる経験サンプリング法ー効率的なデータ収集と洗練した解析で移ろう心を描き出すー

 

◆資料

話題提供の際のスライド

 

◆関連リンク

Paco

awareframework

PIEL

ExperienceSampler

・Pacoの参加者マニュアルのサンプル

iPhone利用者用

https://goo.gl/7DvFQc

Android利用者用

https://goo.gl/9xD1V4

 

◆References

Aharony, N., Pan, W., Ip, C., Khayal, I., & Pentland, A. (2011). Social fMRI: Investigating and shaping social mechanisms in the real world. Pervasive and Mobile Computing, 7, 643-659.

Andrews, S., Ellis, D. A., Shaw, H., & Piwek, L. (2015). Beyond Self-Report: Tools to Compare Estimated and Real-World Smartphone Use. PLoS One, 10, e0139004.

Asselbergs, J., Ruwaard, J., Ejdys, M., Schrader, N., Sijbrandij, M., & Riper, H. (2016). Mobile Phone-Based Unobtrusive Ecological Momentary Assessment of Day-to-Day Mood: An Explorative Study. Journal of Medical Internet Research, 18, e72.

Ferreira, D., Kostakos, V., & Dey, A. K. (2015). AWARE: Mobile Context Instrumentation Framework. Frontiers in ICT, 2.

Harari, G. M., Lane, N. D., Wang, R., Crosier, B. S., Campbell, A. T., & Gosling, S. D. (2016). Using Smartphones to Collect Behavioral Data in Psychological Science. Perspectives on Psychological Science, 11, 838-854.

Ö, Y., Liu, C. H., Sheng, Z., Leung, V. C. M., Moreno, W., & Leung, K. K. (2016). Context-Awareness for Mobile Sensing: A Survey and Future Directions. IEEE Communications Surveys & Tutorials, 18, 68-93.

Pejovic, V., Lathia, N., Mascolo, C., & Musolesi, M. (2016). Mobile-Based Experience Sampling for Behaviour Research. In M. Tkalčič, B. De Carolis, M. de Gemmis, A. Odić & A. Košir (Eds.), Emotions and Personality in Personalized Services: Models, Evaluation and Applications (pp. 141-161). Cham: Springer International Publishing.

Rauthmann, J. F., Gallardo-Pujol, D., Guillaume, E. M., Todd, E., Nave, C. S., Sherman, R. A., Ziegler, M., Jones, A. B., & Funder, D. C. (2014). The Situational Eight DIAMONDS: A taxonomy of major dimensions of situation characteristics. Journal of Personality and Social Psychology, 107, 677-718.

Rauthmann, J. F., Sherman, R. A., & Funder, D. C. (2015). Principles of Situation Research: Towards a Better Understanding of Psychological Situations. European Journal of Personality, 29, 363-381.

Runyan, J. D., Steenbergh, T. A., Bainbridge, C., Daugherty, D. A., Oke, L., & Fry, B. N. (2013). A Smartphone Ecological Momentary Assessment/Intervention “App” for Collecting Real-Time Data and Promoting Self-Awareness. PLoS One, 8, e71325.

Sandstrom, G. M., Lathia, N., Mascolo, C., & Rentfrow, P. J. (2017). Putting mood in context: Using smartphones to examine how people feel in different locations. Journal of Research in Personality, 69, 96-101.

Sherman, R. A., Rauthmann, J. F., Brown, N. A., Serfass, D. G., & Jones, A. B. (2015). The independent effects of personality and situations on real-time expressions of behavior and emotion. Journal of Personality and Social Psychology, 109, 872-888.

Thai, S., & Page-Gould, E. (2017). ExperienceSampler: An Open-Source Scaffold for Building Smartphone Apps for Experience Sampling. Psychological Methods.

Wang, R., Harari, G., Hao, P., Zhou, X., & Campbell, A. T. (2015). SmartGPA: how smartphones can assess and predict academic performance of college students. In  Proceedings of the 2015 ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing (pp. 295-306). Osaka, Japan: ACM.

 

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2016/06/11 by Gen

心理学研究への参加者募集中(スマホを通じた恋人との関係についての心理学研究)

 

★第3弾の参加者募集を開始しました。

 7/3(日曜)~7/9(土曜)に参加可能な方は是非ご参加ください。

 

 事前調査(20分~40分)と事後調査(20分~40分)への参加を本調査の参加条件とし、本調査(1日5回×7日間、1回2分~5分、可能な範囲でお答えください)への参加回数に応じて、某Aからはじまるインターネット通販最大手のギフト券を最低2,000円~最大6,000円贈呈いたします。インターネットを通じたやり取りですべてが終了します。

ご参加に興味がある方はこちらへ

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2016/05/23 by Gen

経験サンプリング・Ecological Momentary Assessment的手法を使うなら、PACOというアプリがベストチョイス

[最終更新日 2016/05/23]

 

■記事の要約

 無料で経験サンプリングを簡単に・手軽に行いたい場合、現時点での最適解はPACOというアプリを利用すること(だと思います)。PACOはGoogle社の社員が社会科学研究の振興を目的として立ち上げたアプリ(システム)であり、Android, (現在は)iPhone両対応。研究者はこのアプリに質問項目のデータを送り込んで経験サンプリングの調査としてパッケージ化できます。写真情報(iPhoneでも取得可)、GPS情報やアプリ使用履歴情報(これらはAndroidのみ可能?)も手軽に取得可能。ただし、iOS端末のアプリの方が制限がキツい(これはアップル社のセキュリティの厳しさを反映してのもの)。

 

■はじめに

 数日間にわたって、1日に複数回参加者に「なにしてる?なに考えてる?」と尋ね、参加者の日常経験をランダムにサンプリングすることによって、参加者の日常経験全体の性質を推測する方法である経験サンプリング(Experience Sampling; 別名Ecological Momentary Assessment)。この手法を用いた研究が心理学界隈で増加している印象があります。私自身も同手法を用いた3回目の研究を行うに際して、同手法を用いる際に役立ちそうな情報をまとめておきます。

 

 まず非常にまとまって丁寧に書かれたものとして、以下のHPと文章を挙げることができるでしょう。

スマートフォンを使用した経験サンプリング法:手法紹介と実践報告(尾崎由佳・小林麻衣・後藤崇志)

尾崎先生のHPにおける経験サンプリング法のtipsの紹介

 

■経験サンプリング法を行うときの大変さ

 私の経験としては、尾崎先生のHPに書かれているGoogleグループとメーラーの送信日時指定機能を利用した経験サンプリング調査を一度行っています。うまくいきましたが(心より感謝いたします)、なかなかに大変でした。まず参加者を4グループに分けたとして、送信日時を4×送信シグナル分(1日5回×7日間であれば35回)、メーラーかサーバーにセッティングする。今現在であれば、尾崎先生のページに書かれているパソコンにインストールするメーラーであるthunderbirdに送信予約を行うよりも、Gmailのサーバー側の送信日時指定機能アドインを利用した方が良いでしょう。これならば、一度Gmailのサーバーにセッティングしてしまえば、パソコンの電源を切っても良いし、ネット接続環境すらなくても大丈夫です。自分のパソコンやネット接続が落ちると研究計画が狂う、というのはとても怖いものです。

 

◆何が大変だったかというと、

・140回分(グループ×シグナル分)送信予約を行う大変さ

・Googleフォーム等の入力フォームを送信予約分複数用意し、シグナルごとに回答フォームの回答期限を時刻設定し、取得したデータを個別に多数ダウンロードし、それらを統合する大変さ

・送信エラーが生じた際の大変さ

・Emailでシグナルを送信すると、参加者がなかなか反応してくれない(PCのEmailアドレス(@gmail.com等)はスマートフォンに派手な通知をもたらさないから参加者がシグナルに気づきにくい。他方、携帯アドレスのEmail(@docomo.ne.jp, @ezweb.ne.jp等)は、いくら設定を周知したとしてもメールの着信拒否のエラーが頻発する)

・グループ分けした上でのランダム送信は、疑似ランダム化にすぎない

・参加者の生活サイクル(早起きする人もいれば遅起きする人もいる)ごとにタイムウィンドウを設定できない

といった点です。もちろん、尾崎先生のページで紹介されているSurveysignal等のSMS送信システムを利用すればこのような問題の大部分は回避できるかもしれません。しかし、私が試したところ、Surveysignalは日本では動作が安定せず、また送信料として 1 通あたり$0.10 が課金される(もし 100 名の対象者に一日 7 回×7 日間のメッセージ送信を行った場合、$0.10×100×7×7=$490 かかる)のはなかなかに高額です。

 

■とにかく試してみた→PACOがイチオシ

 そこで、スマートフォンを利用した経験サンプリングに役立つサービスを網羅的にまとめた海外の一覧表

Conner, T. S. (2014, Nov). Experience sampling and ecological momentary assessment with mobile phones. Retrieved from http://www.otago.ac.nz/psychology/otago047475.pdf

で紹介されているサービスを片っ端から試して、実際に経験サンプリングのデザインを組んでみました。その結果、PACOというアプリが優秀であるという結論に至りました。PACOというアプリを参加者がインストールすれば、そこに研究者が研究セットを送り込むことが可能(データの収集も可能)になっています。

 

■PACOの利点

 PACOの素晴らしいところは、

・アプリを利用した経験サンプリングが極めて手軽に実施できること。プログラミングの知識はほぼ不要。しかし、アプリによる通知はとても目立つ(かつ通信ははじめの一度のみでOKな)し、原理的に送信エラー等の問題が発生しない。Email送信方式と比較して明確に利点がある

・Android, iOS両対応であり、スマホユーザーのほとんどすべてをカバーできること

・無料であること

・基本的にGoogleのシステムを利用したサービスなので、動作が安定していること(作者もGoogle社員の方)

・写真などのデータ収集が容易であること。Androidであれば、アプリ使用履歴やGPSデータも手軽に取得できること

・わずらわしいシグナル送信時刻のランダム化問題から解法されること。Pacoであれば、たとえば「朝10時~夜10時の12時間のタイムウィンドウを設定。その上で、1日にX回シグナルを発してね。でも、シグナル間は最低X分間隔を空けてね」といった設定がごくごく簡単にできます。シグナルごとの回答期限の設定やリマインダーのアラームを期限の何分前に出すかも自在に設定しかもSurveysignalとは違って無料です。正直にいえば、Surveysignalの出る幕はないような気がします。

・日本語にまったく文字化けしません。

・研究実施中に、参加者数、参加率=回答者ごとの回答率(回答/シグナル数)や、回答率の低い参加者を瞬時に特定可能。

 

■PACOの欠点

 他方、PACOの欠点としては、

・Google依存のシステムなので、参加者はかならずGoogleアカウント(@gmail.com等)を登録する必要があること(参加者がGoogleアカウントを入力しないと、研究セットが配信されません)

・細かな部分でインターフェースが英語表記なので、参加者に事前にわかりやすく使い方を周知する必要があること(この点は研究デザインによっては大きな支障となるかもしれません)

・質問項目のランダマイゼーションができないこと(あるいはGoogle Scriptのプログラミングスキルがあれば可能なのかもしれませんが、現段階ではよくわかりません)

【以下,PACOを利用した経験サンプリング研究を終えた後に追記】

・アプリがシグナルを発した場合,参加者は設定した制限時間内に回答を行うことができます(これは当然)。しかし,これに加えて,参加者は任意の(好きな)タイミングで自発的に回答を行うことができてしまいます。もちろん,あるひとつの回答がシグナルに対するものだったか参加者が自発的に回答してしまったものだったかはデータとして記録されるのですが,シグナルと無関係な自発的回答を行わないよう参加者に用意周到に告知する必要があります。これはPACOの比較的大きな欠点かもしれません。

・ときどき回答データが重複されて記録されることが(とくにAndroid利用者の回答データの場合に)ありました。回答日時が重複しているデータの処理など,データのトリミングが最後に必要となります。

 

※ちなみに、いろいろ試した結果、iOSに限定したアプリとしてはPIELも無料で優れています。

 

というわけでPACOがイチオシの経験サンプリング手法であり、新たに計画している経験サンプリングはPACOを利用して実施予定です

 

■PACOの使用感

 

◆PACOによって作成された画面はこんな感じです。

IMG_9163 3  4

 

◆参加者がPACOを利用するまでのハードルはこんな感じです。

1.アプリストア(Apps StoreもしくはGoogle Play)でアプリを探し出してインストールしてもらう

IMG_9170

2.PACOを起動するとGoogleアカウントのEmailアドレスを入力する画面があらわれる

IMG_9172

3.すると、このような画面があらわれる

IMG_9167

4.参加者のアカウントが、研究者側があらかじめ次の画面から招待(登録)を行っておいた@gmail.comアドレスである場合、

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5.参加者のPACOアプリの「Find My Experiments」というところに研究が届いている(2枚前の画像の左上)

6.参加者は参加したい研究名をクリックして、「Join this Experiments」をクリックすれば参加登録完了

IMG_9173 IMG_9174

7.あとは、研究者が指定した時刻になればアプリから通知がやってきます。参加している研究を参加者が確認したい場合は、「Running Experiments」(4枚前の画像の右上)をクリックすれば良い。参加を取りやめたい場合は、研究名をクリックした上で、「Stop Experiment」をクリックすれば参加を中止できる。

IMG_9175

 

■PACOの使い方

・経験サンプリングであれば、基本的にこちらのマニュアルの指示に従えばすぐに完成します。

・GROUPSタブを押して、上のマニュアル(2枚下の画像)にしたがってスケジュールを設定し、ADD INPUTで質問項目を加えるだけで基本的に完成します。

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■PACOに興味を持たれた方へ:いくつかのTips

 最後に、私がPACOで試行錯誤して得たTipsをいくつか紹介しておきましょう。

 

◆ダウンロードした.csvデータが文字化けしている

 csvをダウンロードしてExcelで直接開こうとすると文字化けします(これはGoogleフォームと同様ですね)。基本的にUTF-8でコーディングされているみたいなので、csvをメモ帳で一度開き保存し、そのファイルをExcelでインポートすると何の問題もなく読み込めます。.csvのインポート方法についてはこちら。

 

◆PACOの質問文を改行したい

 PACOはGoogleフォームのように大見出し・中見出し・小見出しといったものを設定できません。ベタっと平文になり、改行も不可能です。これでは質問文が読みにくくなってしまう。そこでどうするかというと、SOURCEタブをクリックして、改行を入れたい質問文のところに \n を打ち込んでやればOKです(2行分改行したければ\n\n)

1

2

 

◆いきなりすべての質問項目が出てくるが、ページ遷移は設定できないのか?

 PACOアプリにはページ遷移という概念がありません。したがって、作成した質問文は一覧として丸見えの状態(スクロールすればすべてが見える状態)になってしまいます。そこでどうすればいいかというと、条件文(conditional)において以下の通り設定を行ってやれば良さそうです。

たとえば、質問文2(input2という変数名が付きます)を、質問文1(input1という変数名が付きます)に回答した人だけに表示したければ、質問文2の表示条件を「input1>=1」(input1で1以上の数字を選択した人、すなわち質問文1の回答者全員)に指定してやればOKです。条件文を設定すればたいていの調査票のデザインは可能です。ただし、項目のランダマイゼーション方法は私はまだ見つけられていません。

 

◆PACOの操作方法・インストール方法を日本語で説明した資料が欲しい

 現在、研究への参加者に配布するための資料を作成中です。完成しましたら近日中に公開予定です。

 →PACOを用いた経験サンプリング研究の終了後に公開しました。これは,PACOの開発者の方が公開されている配布用マニュアルを日本語化したものです。

iPhoneを利用している人向けのマニュアル

Androidを利用している人向けのマニュアル

 

■PACOのサンプルが見たい

 PACOをインストールした後に、 m@genito.net まで「PACOサンプル希望」とメールの件名に書いて送信してください(かならずGoogleアカウントのメールアドレス(@gmail.com等)でメールを送ってください。本文は空欄で結構です)。こちらがお送りいただいたメールアドレスをPACOのサーバーに登録すると、PACOのサーバーに登録してある経験サンプリングのサンプルをご覧いただけます。

 

#なお、PACOを用いたとしても自己報告式のデータがメインになると思います。自己報告式以外のデータの収集 (mobile sensing) については、以下の記事を参照してください。私もあれ以来なかなか苦戦しています。

http://genito.net/?p=1150(SPSP2015で情報収集した役立つツールその他)

 

 

 

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2016/04/12 by Gen

2016年度の研究発表予定

[最終更新日 2016/09/01]

 

2016年度の研究発表予定について随時情報の掲載を行います。

 

・18th annual meeting of the Society for Personality and Social Psychology (SPSP) (2017/01/19-21), San Antonio, Texas, USA.

Ito, G., & Hashimoto, Y. (2017). Why someone becomes a fan of a celebrity? : Celebrity worship, spirituality, and agency detection in Japan. (accepted)

Abstract: Why someone becomes a fan of a celebrity? We conducted relatively large sample study (N = 367) using Japanese sample in cooperation with an active celebrity (idol). First, although celebrity worship, especially idol worship, becomes a social phenomenon in Japan, there has been little psychological research about it. Our data showed that Japanese celebrity worship can be well explained by six factors, and we’ll discuss this structure in comparison with past Western findings (e.g., McCutcheon et al., 2002). Second, although previous study suggested negative correlation between celebrity worship and religiosity (Maltby, 2004; 2015), they didn’t make distinction between actual religious belief and psychological underpinnings of religiosity (i.e., agency detection, or the tendency to interpret events as the consequence of intentional and purpose-driven agents). Our data showed that someone who tends to detect agent in an actually random pattern is likely to be a celebrity worshipper, and the endorsement of spiritual value (spirituality) mediate this relationship.

 

・31st International Congress of Psychology (ICP2016)(7/24-29)(Yokohama, Japan)

Ito, G., & Soma, T. (2016). Notice early warning signs of domestic violence by thinking abstractly (vs. concretely): an experience sampling study. (accepted)

Abstract:  Any action (e.g., boyfriend’s verbal abuse) can be construed abstractly (“Why” reasoning; e.g., imposing his desire) or concretely (“How” reasoning; e.g., using dirty words). By comparing abstract/concrete construal, most previous studies have investigated how to get close to others (empathy and prosocial behavior; Trope & Liberman, 2010). But little research has examined how to get distant to others, which we believe to be an important question in everyday life, especially in romantic relationship. When comparing abstract/concrete construal, which fosters someone to notice early warning signs of domestic violence by their partner? We conducted an experience sampling study for seven consecutive days and identified several relational vulnerability factors related to non-physical domestic violence. Using multilevel analysis, we got some tentative evidence that when people think abstractly, they can easily distance themselves from their partner’s non-physical violence.

 

・23rd Congress of the International Association for Cross-Cultural Psychology (IACCP) (7/30-8/3) (Nagoya, Japan)

Ito, G., Hashimoto, Y., Nakagawa, T., & Takano, Y. (2016). Psychological antecedents of political ideology in Japan. (accepted)

Abstract:  Although there are many researches about the psychological bases of political ideology in U.S., little research has explored the psychological antecedents of political ideology in Japan. Through three studies utilizing Japanese participants, we investigated whether moral foundation (Graham et al., 2009) and inhibitory control (assessed by Stop Signal Task and Simon Task) relates to political ideology in Japan. Though similar pattern emerged, compared with U.S. data (in which concerns about purity and disgust showed the strongest relation to ideology), Japanese data showed no relationship between purity concerns and ideology. Also, we found some tentative evidence that inhibitory control predicts political ideology through moral foundation, especially through harm foundation. Taken together, there results suggest that there are some universal psychological antecedents of political ideology, but at the same time we have to take care of some important cultural differences.

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2015/05/25 by Gen

2015年度の研究発表予定

[最終更新日 2015/07/21]

 

2015年度の研究発表予定について随時情報の掲載を行います。

 

・日本心理学会(9/24、13:10-15:10)(名古屋大学、名古屋)

伊藤言・高野陽太郎. なぜ人は政治的に左と右に分かれるのか?―抑制機能と道徳基盤の政治的イデオロギーに対する影響.(ポスター発表)[paper]

 

・日本社会心理学会(10/31~11/1)(東京女子大学、東京)

伊藤言・江良聡浩・高野陽太郎. 日常において心理的距離は行為解釈の抽象度や対人認知に影響しているか? (口頭発表)[paper]

(経験サンプリング法を通じた検討)

 

・Society for Personality and Social Psychology (SPSP)(2016/1/28-30) (San Diego, USA)

Ito, G., Era, A., & Takano, Y. Construal level, power, and person perception in everyday life: An experience sampling study. (accepted)

 

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2015/03/05 by Gen

SPSP2015で情報収集した役立つツールその他

[2015/03/05更新]

 

 社会心理学系の最大規模の国際学会であるSPSPにはかれこれ毎年参加しているわけですが、つい先日も参加してきました。SPSPではアメリカでスタンダードになりつつある方法論(考え方)は何なのかについての情報収集、役立つ新しいツールやプラットフォームについての情報収集、今どこにアテンションが集まっているのかという潮目を感じることが大きな楽しみだったりします。というわけで、今後の研究に役立ちそうな話をいくつかメモしたのでここにまとめておきます。

 

◆研究計画・統計関係

 

・実験を行うとき、1セル(1条件)何人の実験参加者を使うのか?

 社会心理学において平均的な中程度付近の効果量 (d = 0.45) を検出したいとして、1セル(1条件)何人で実験を組み立てれば良いのか?日本の研究室の伝統に従っているとヒューリスティックに1条件15人で組み立てる場合がままあるようですが[要出典]、Simmons et al. (Psychol Sci, 2011; 日本語レジュメ) 論文で述べられているように最低でも1セル20人で実験を組み立てる場合が多くなってきたように感じます。アメリカでは1セル30人が現在もっとも多いヒューリスティックな実験計画の立て方のようですが[要出典]、Alison Ledgerwoodという研究者は、研究室として「特に理由がない場合は(事前に効果量が予測できずに検定力分析を行いにくい場合は)最低1セル50人で実験計画を立てる」というヒューリスティクスを採用してそれなりにうまくいっているようです。

 曰く、1セル20人だと(2条件比較の場合に)小さな効果量を検出できる確率(検定力)は10%以下、中程度の効果量を検出できる確率は34%にとどまるのだけれども、1セル50人だと小程度で17%、中程度で70%の確率だからだとか(ちなみにメタ分析論文によれば2×2デザインの場合は1セル30人で69%だとか;Westfall et al.のSPSP2015における発表スライドより)。「有意差が出なくても研究結果に自信を持てるような研究を組み立てよう」「自分たちのデータを信頼できるものにしてもっと多くをデータから学べるようにしよう」という彼女のメッセージには同意せざるをえません。とはいえ、MTurk等がない日本では実験参加者調達のコストが確実にアメリカよりも高く、現実的には「ざっと1セル30人あたり」がこれからの落し所になるのかもしれません。(あるいは少なくともhuman universalな心理メカニズムを想定できる場合は日本からMTurkを用いてアメリカ・インドの参加者を相手に1セル50人程度の実験も併せて行って自らの研究知見をメタ分析した方が良いのかもしれません)

 

・検定力分析 (power analysis)

 とはいえ、先行研究から効果量についてある程度予測が可能な場合、検定力分析を行う方が良いでしょう。検定力分析について、新しいツールが登場しているようです。検定力分析ではG*Powerが有名だと思うのですが、今回紹介されていたのは、固定効果と変量効果双方を扱える、一般化線形混合モデルにおける検定力分析も可能な(Rを用いた)Webアプリ、PANGEA。実験デザインにおいて、実験参加者数と実験で用いる刺激数の2つのパラメターから検定力を追い求めていくことが可能です(わたしたちはしばしば刺激数が検定力に与える影響について考えずに実験を行ってしまう)。関連するプレゼンスライド等は作者のJake Westfallのサイトからどうぞ。

 その他、”Actor-Partner Interdependence Model”における検定力分析ツールとしてAPIM Powerをメモ。

 

・Sequential Analysisについて

 実験を行って、ある程度人数が集まったら統計的検定にかけて、有意差がまだ出ていないからもう少し人数を足そうとサンプル数をさらに増やしてふたたび統計的検定にかける…この習慣は第1種の過誤 (false positive)の確率を上昇させてしまうため近年「p値のねつ造(p-hacking)」として厳しく非難されてきました (e.g., Simmons et al., Psychol Sci, 2011)。しかし、いくつかの研究室がこの習慣を積極的に利用する”sequential analysis”と呼ばれる手法を取り入れつつあるようです。これは、SESOI (Smallest Effect Size of Interest; 最低限これ以下の効果量ならばダメねという基準)を設定した上でデータを収集するごとに統計的分析を行って、条件間に差が認められそうか(帰無仮説を棄却するか)、差が認められなさそうか(帰無仮説を採択するか)を都度モニタリング可能な手法なようです。見込みがないのに研究を続けるという社会にとっての無駄を防ぐ手法なんだという点をプレゼンターのLakensは強く主張していました。まだ詳細については理解しきれていませんが、今回のSPSPでこのsequential analysisについて扱ったスライドがOpen Science Frameworkに公開されています。論文としては Lakens & Evers (Pers on Psychol Sci, 2014) 、および Lakens (EJSP, 2014) あたりでしょうか。

 

・研究を行う上での妥当なプラクティス

  ある仮説を検証するためにデータを収集して、思うような結果が出なかったので、そのデータの中で(統計的に)結果が出たところをあたかも当初からそう想定していたかのようにロジックを組み替えて仮説検証的な論調で議論する…近年厳しく非難されているp-hacking(p値のねつ造)の習慣のひとつです。この悪しき習慣をやめよう、というのは今年の学会においても相変わらず大きなメッセージでした。ある統計的な結果を得たとして、それが(当初想定されていたような形で結果が出たという意味において)検証的 (confirmatory) なものなのか、それとも(当初想定されていたのとは別の形で結果が出たという意味において)探索的 (exploratory) なものなのか、をきちんと区別して明示しようということです。このp-hackingを防ぐために提唱されていた望ましい習慣はシンプルなものでした。1.十分な検定力を確保した上で研究デザインを組み、データ収集前に想定していた仮説が検証された場合は自信を持っていい (high confidenceな)研究知見である。2.当初想定していた仮説とは異なる形で結果が出てきた場合は自信を持ってはいけない (low confidenceな) 研究知見である。3.high confidenceな研究知見の場合はpublishなど先の段階に進め。low confidenceな研究知見の場合は、単純に、今度は(予想とは違って得られた)その仮説を仮説検証型の研究でreplicateしろ。それによってreplicateされた場合はpublishなどの先の段階へ進め。ここら辺の問題はとかく議論が複雑になって「めんどくさいしいいや」となりがちなので、high confidenceかlow confidenceか、というシンプルな二分法で考えようということです。

 研究開始前に、実験計画、仮説、分析手法を明示してWeb上に明記するpre-registrationの動きが強力に進んでいます。具体的には、p-hackingを防ぐために、1.研究の方法、2.仮説の方向性、3.検定力分析の結果・ターゲットとなる参加者数・データ除外の基準、4.仮説検証型、あるいは探索型のデータ分析の計画の4つを事前に明記しておくことが望まれているそう。いわば、研究者は自分の都合の良いようにバイアスがけてデータを分析する(それは仕方がない)ので、制度として人間である研究者のバイアスを縛ろうということです。少なくともわたしたち日本人のレベルにおいて役立つものとして、(今回紹介されていましたが)研究室単位でLab Archive Form (by Ledgerwood) を記入する習慣が挙げられるのではないでしょうか。

 なるほどなと思ったのは、”build contingency to your pre-registration!” というLedgerwoodのメッセージ。つまり、もしα係数が0.6を超えていたらA分析をするけれど、それを下回ったら探索的因子分析を行ってしかじか…という風にpre-registerする事前の分析計画に偶然(条件分岐)を許す形でregisterせよということです。

 

・研究を評価する側(incl. 査読者)に求められること

  p-hackingを防ぐために厳しい基準を研究者に求めるならば、研究を評価する側の認識も同時に変化しなければならない、という問題意識は多くの研究者に共有されているようです。このことに関するプレゼン (by John Banner) で発せられたメッセージはシンプルで力強いものでした。タイトルは ” a reviewers guide to embracing imperfection” (不完全であることを許容するための査読者向けガイド)。簡単に言えば、1.研究で発したいメッセージの核となる部分でデータがメッセージを支持しているかどうかを吟味せよ(メッセージの核とならない部分でのデータの不完全さを許容せよ)ということ、そして2.研究を評価する側もメタ分析的思考で研究を評価せよ(ひとつの実験結果などに不完全な部分(例:有意差なし)があったとしてもそのことで研究を無価値だと評価するな。すべての実験がすべて完璧に仮説をサポートすることを求めるな。論文の中に含まれる複数の実験結果をトータルでメタ分析したときに、そのメタ分析の結果が仮説をサポートするならばそれで論文をよしとせよ)ということです。ひとつの論文内でのメタ分析はこれまで以上にスタンダードなプラクティスになっていくのでしょう。ここら辺の議論は Manner (Pers on Psychol Sci, 2014) にまとめられているようです。

 

◆日常生活における認知についての研究関係

 

 実験室で厳密に統制された環境下で心を探るアプローチが相対的に減少し、日常の中での人々の認知を探る方向の研究が大幅に増えた印象を受けました。もちろん、これは多くの人がスマートフォンを持つようになり研究者がローコストで日常での人々の振る舞いについてのデータを収集できるようになったからでしょう。

 ここからは完全に私見ですが、次のような潮目を強く感じました。1.人々の心について実験室で厳密に探るならば、「構成概念」というあやふやなもので心のメカニズムを説明することをなるべく避けるために、神経科学的に/biologicalにgroundedした形で議論可能な生理学・神経科学ベースの手法を組み込んだ研究をせよ(例:「行動レベルの独立変数の操作→神経科学的変動→行動レベルの従属変数の変化」のような媒介分析的研究)。2.もしそのような研究を行わないならば、反応時間や構成概念ベースで心のメカニズムを探る研究を行うよりも、現実世界に飛び出して、現実世界におけるどのような独立変数(例:ある人の1年間の募金額)と、現実世界におけるどのような従属変数(例:Facebookでの友人数)が結びついているかを、(なかばビッグデータという形で)モデリングせよ。中途半端に実験を行って構成概念レベルで「心のメカニズム」を議論するよりも、現実世界におけるある変数と別の変数の結びつきの関数を明らかにしてやった方が良いという(技術の発展に裏打ちされた)行動主義的アプローチの復権。

 その中でも、有用なツールがいくつか紹介されていたのでメモしておきます。

 

・(自己報告式ではない)経験サンプリング的手法関連 (mobile sensing)

 1日のうちランダムな時間に5回シグナルが7日間送られてくる…シグナルが送られてくるたびに参加者はボタンを押して回答をする…「あなたはいまどんな気分ですか?」「誰と一緒にいますか?」…このような古典的な経験サンプリング法が新たな脚光を浴びていますが (e.g., Hofmann et al., Science, 2014)、今回のSPSPでホットだったのは「どんな気分ですか?」のような自己報告式のデータだけに頼らない経験サンプリング的手法でした。考えてみればスマホには録音機能も録画機能もGPSも加速度センサーも備わっているわけで、これらを利用すれば経験サンプリング的手法で「行動データ」も取ることが可能になるわけです。たとえば、30分に1回30秒程度自動でスマホが音声を録音してそのデータを研究者がコーディングすれば、それは客観的な行動データになるでしょう。GPSデータを利用すれば社会的ネットワークについての分析が可能になるでしょう。”What is it to be like someone else?” (誰か別の人になりきるってどんなこと?) また、これら「行動データ」と従来の経験サンプリング法的な自己報告式データを組み合わせることで、心理世界と物理世界のマッピングをより的確に行うことが可能になります。自己報告式測定の比重が減れば、参加者の負担が減るメリットも大きいかもしれません(データの自動収集)。このような研究手法で「人か状況か」問題に巧みなひとつの回答を与えた研究 (by R. Sherman) はきわめて興味深かったのですが、ありがたいのは、この「行動データ」をスマホで取るための研究計画に役立つツールやプラットフォームをすぐに作ってしまうところ。というわけで、まだあまりいじれていないのですが、メモとしていくつかをご紹介。

 

・・Emotion Sense,  EasyM

研究者がスマホを利用して人々の行動データを測定することを支援するためのツール(プラットフォーム)。特にEasyMが研究支援ツール。現在招待制で私はまだいじることができていませんが、期待が大きいです。

・・Experience Sampler

従来(自己報告式回答)型の経験サンプリング研究を行うためのスマホアプリ(Android & iOS対応)を簡単に作成できるプラットフォーム。シグナルを送信するのではなく、アプリでデータが取れるので、スマホがインターネットに接続されていることを前提としなくて良いし、複雑なデザインを組むことが可能。

 

 最後に。このような形での研究手法に付随する倫理的問題について、「研究に参加する本人についてはインフォームドコンセントで特に問題にならない。問題なのは、研究に参加する人とたまたま一緒にいる(研究について知らない)別の誰かのプライバシーをいかに確保するかだ」とのこと。音声データを匿名性を高めるためにピッチ変換したり、ここら辺の問題について頭を悩ませることが多いそうです。

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